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2010年11月 アーカイブ

病を癒す毒 3

インド原産の低木であるラウヴォルフィアは、ヘビに咬まれたりサソリに刺されたとき、あるいはある種の精神病の治療薬として数千年間インド人により使われてきました。


しかし、西欧の科学はインドのこうした治療法を無視してきました。


それは、19世紀末に、2人のオランダの科学者がラウヴォルフィア・セルペンティナ(インドジャボク)の薬効を報告したときまで続きます。


それでも、科学者と医者が、このインドの低木に本格的に注意を払うまでに40年かかりました。


精神病患者に対する臨床実験がはじまり、プラントハンターはラウヴォルフィアのいろいろな種を探索しはじめ、その結果、中近東の種だけではなく、中央アメリカや南アメリカ北部の種も発見されました。


粉末にしたラウヴォルフィアは効果がないことはないのですが、その効果は一定しませんでした。


1952年に、化学者の努力で、ついに薬効をもたらすアルカロイドの単離が成功。


この発見により、非常に効果の高い薬をつくることが可能となったのです。

病を癒す毒 4

化学者はこの化合物をレセルピンと呼び、精神病患者の沈静薬としてもっぱら使われました。


1950年代にこの薬は広く使われるようになりましたが、医者は血圧を下げるという副作用に気がついたのです。


今日、レセルピンは高血圧の治療に最も多く使われています。


化学者はレセルピンを合成する知識を獲得しましたが、その合成過程は、植物からアルカロイドを抽出することに比べたら費用がかかります。


ですから、ほとんどの医薬品会社は、いまなお自然の産物に依存しています。


今日の死因の第1位は心臓病ですが、前世紀まではマラリアが人類の最大の脅威でした。


歴史を振り返ると、マラリアによる死者の数は、戦争と疫病による死者を合計した数よりも多いといえます。


1630年代に、ペルーのインディオたちと暮らしていた、イエズス会の伝道師が偶然に治療法を見つけるまで、どういうわけかマラリアの治療法はなかったのです。

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