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2010年12月 アーカイブ

病を癒す毒 5

伝道師の観察では、ペルーに野生する木の、シナモン色をした樹皮からつくられる飲料が、マラリアの恐ろしい症状を和らげるように思われました。


不思議な樹皮の力を発見したのは、伝道師なのかインディオなのか、またどのようにして発見したのか、それらは今もってはっきりしません。


伝道師は、マラリアがどのようになぜ治るのか知らなかったのですが、この発見を喜んでヨーロッパに伝えました。


ペルーの原住民はこの木を「キナ」または「キナキナ」(これがキニーネという名の由来)と呼んでいましたが、よく聞かれる話として、なぜこの木が学名でキンコナと呼ばれるようになったかという有名なつくり話があります。


この話の筋によれば、キンコナ伯爵夫人がマラリアにかかり重体になりましたが、このペルーの木からつくられた強壮剤を飲んで治ったといいます。


そして自身の健康を回復したことに大感激して、伯爵夫人はスペインの貧しい人々にこの治療薬を与えたというものです。


この物語はほんとうではないでしょうが、この木は依然としてこのつくり話に由来する名前で呼ばれています。

病を癒す毒 6

奇跡的なマラリア特効薬のニュースはヨーロッパ中に広まりました。


17世紀の保守的な医学会はこの新薬を信じようとしなかったのですが、この苦い飲物はマラリアによく効いたので、すぐに普及するようになりました。


19世紀の終わりまでは、どのくらいの量のキナの樹皮が治療に必要であるか正確には誰も知らなかったですし、その投薬量もいろいろでした。


しかし、そうした状況が変わったのは、2人のフランスの化学者が、樹皮中の有効アルカロイドであるキニーネを単離してからです。


このキニーネの単離により、医者は効力が一定した正確な服用量を処方できるようになりました。


キニーネの発見により、有害な飲料を飲む必要もなくなりました。


そのかわりに、患者はキニーネの錠剤を口にすることができ、よりよい結果も得られたでしょう。


キニーネの発見を契機にして、キンコナからおよそ40種類の異なったアルカロイドが単離されました。


これらのほとんどは、とりわけ薬用価値はないようですが、アルカロイドの1つであるキニダインはある種の心臓病に効きます。

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