病を癒す毒 5
伝道師の観察では、ペルーに野生する木の、シナモン色をした樹皮からつくられる飲料が、マラリアの恐ろしい症状を和らげるように思われました。
不思議な樹皮の力を発見したのは、伝道師なのかインディオなのか、またどのようにして発見したのか、それらは今もってはっきりしません。
伝道師は、マラリアがどのようになぜ治るのか知らなかったのですが、この発見を喜んでヨーロッパに伝えました。
ペルーの原住民はこの木を「キナ」または「キナキナ」(これがキニーネという名の由来)と呼んでいましたが、よく聞かれる話として、なぜこの木が学名でキンコナと呼ばれるようになったかという有名なつくり話があります。
この話の筋によれば、キンコナ伯爵夫人がマラリアにかかり重体になりましたが、このペルーの木からつくられた強壮剤を飲んで治ったといいます。
そして自身の健康を回復したことに大感激して、伯爵夫人はスペインの貧しい人々にこの治療薬を与えたというものです。
この物語はほんとうではないでしょうが、この木は依然としてこのつくり話に由来する名前で呼ばれています。